ハンス・コパー展

うっ、マズイ…2月から更新が…

それは、さておき
先日、行って来た「ハンス・コパー展」について
書いてみようと思います。




basilさんから、多少の知識は得ましたが
ほとんど知識がありません。

1920年生まれのコパーは、父親がユダヤ人だった為
1939年にイギリスに亡命し、ルーシー・リーと出合います
そのリーの工房で、コパーの陶芸家としての活躍が始まったようです。
(参考にWikipediaを参照しましたが、項目がありません。興味のある方はググッてください。)

展示は、年代を追って活動した場所別のブース分けをされていました。
ごく初期には、普通のカップ&ソーサーや陶器製のボタン。。
また、それとは相反する
キュビズムに影響された立体や陶板。
そして、古代土器のような質感の花瓶や器…
この時点で、後のコパーの作品性が造られているのが解ります。

しかし、轆轤が巧い!
日本のl陶芸とは、まったく異なるフォルムを繊細に
形作る様は、建築家のようでもある。

それと初期の作品は
反対にした方が、安定が良さそうな程、下の方が細くなっている。
フォルムに緊張感を持たせたかったのか?

次のブースは、建築時代。
タイルや、展示会場のオブジェの作品が並ぶ
時は、50年代。
時代性を反映した、モダンなデザインだ

そして円熟期とも言える、豊富なフォルムを持つ時代に…

ここまで、一貫として言えるのは
同じような色調でしか作ってないこと。
釉薬は日本には無い、マンガン柚が主に使われ
かいらぎのような、まだらになっていたり
粉挽きだったり…
いかに、フォルムを大事にしてたかって事なんじゃないか
思います。。

まるで積み木を重ねる様に、
違う形の物を、つなぎ合わせてフォルムを作る。
しかも、型を使わずに全て轆轤によるもの
なんだろう。。。

作品はモダンで、シェイプされていて、単調な色調なのに
温かさや、根源的な物をかんじさせるのである。
前述のように、古代の土器を思わせるのだ。

古代人には、モダンという認識や感覚も無いけど
今の目から見れば、モダンなものがいくつもある。
遺跡や、ナスカの地上絵、絵文字…

自然界の物を、単純なフォルムにしたり図式化したり
そんな無作為な古代人のスピリッツを、現代的に造作したのが
コパーなのではないか…
そんな風に思えてきた。。
どんな奇抜な形でも、常に物を入れられる口が
付いている所にも、それを感じる。

最後のブースは、キクラデス遺跡にインスピレーションを得た作品群。
それまでの作品より、小振りになったが
より精神性を増して、崇高性すら感じる。

最後の最後に、同胞のリーの作品が並ぶが
コパー程の精神性は感じなかった。

余談だけど、コパーの作品を観ながら
中野和馬君の事を思った。
志半ばながら、世を去った和馬君は
デンマーク人の奥さんがいた経験から、ヨーロッパとは縁が深く
何度も渡欧していた。
その時にコパーに出会ったのかもしれない…
そんな作風だった時期がある。

でも、いい展示でした。
街中で、フラッと寄れる こんな場所で
魂が震えるような経験ができる…
またの企画、楽しみにしてます。。  
タグ :アート陶器


2011年05月01日 Posted by chibi at 22:29Comments(0)アート